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2007年 06月 21日
イングランドとウェールズの間に位置する小さな小さな町ヘイオンワイ(Hay-On-Wye)は、世界最初の本の町として知られる。2−3本しかメインの道がないこの小さな町に、古本屋が軒を連ねている。まるでウェールズの神保町。この文化的土壌から文学祭ヘイフェスティバルも生まれたのだ。 町の中心に位置する小さな古城内までなんと古本屋として本で占められているからスゴイ。まさに町の歴史を象徴する存在。ヘイフェスティバル期間は城の中庭で地元の人々のお祭りや若者のライブが行われている。あくまでアットホーム。 軒を連ねる各古本屋では値打ちモノの本当に古い本から、1冊1ポンドのペーパーバックまで、様々な古本が並べられ、ジャンル分けされている。本棚を見ているだけで、その背表紙が織りなすハーモニーを楽しむことができる。古本好きの私にはたまらない町。1店1点見て回る…まさに本の歴史との遭遇である。 あいにくの雨の中、人の出入りが激しかったこの古本屋に踏み込んでみると…。本、本、本。いたる所に本。表からは想像できないほど奥深い。レジにいるオーナーらしき人物からして、本物の雰囲気! 今って一体いつの時代だったっけ?…とついタイムトリップした気にさせられる。 とにかくここは、360度見事に本だらけ。上階は図書館のごとく綿密にジャンル分けされ、且つ大雑把に並べられた本棚達の空間が続き、地階へ下がれば奥の奥まで本だらけ。しかもかなり乱雑で、雨漏りまでしてるんですけど…。 ここまでくるとさすがの私も軽いめまいが…。これだけあると、かえってあきらめもよくなる。お買い上げの意欲も失せ、本棚に目を通すのも億劫になってくるからふしぎなものだ。量があると出会う対象は多かれど、掘り出し物への遭遇率も自ずと低くなってくる。 いったいこれだけの本がどうしてこの小さな町へ集まってきたのか。そして列車もなき果てしない田舎の小さな町に、どれだけの需要があるのかとやや心配になってくる。一方で、1冊に含まれる情報量を換算すると、一体この町にはどれだけの情報に溢れているんだろう。町の規模と本の量の比率からしたら、間違いなく世界一"本密度"の高い町だ。大昔、一番最初にここに本屋を作った人の歴史や小話を調べたくなってきた。まさに『童話物語』の舞台になりそうな町である。ただでさえここウェールズには、今にもペチカが走ってきそうな雰囲気が漂っているというのに。 また、こんな個性的なホラー本専門店も。有名どころからマニアック&ローカルな本まで、怪しげな本が盛りだくさん。もちろん英語本のみだが、オーナーの選択眼とこだわりを感じさせる。下の小部屋では、怪奇系マニア向け古雑誌や謎のオブジェが飾られてる懲り様。某スタジオエトセトラの作家達が大好きな世界が繰り広げられてる。とりあえずキッチュでおもしろそうな年代物ペーパーバックをスタジオの作家ご夫妻へ土産として購入。なんと、この本がこの町での唯一の買い物になったのだから、これまた奇蹟。本となると、つい買いすぎてしまう私も、あまりの量にすっかり欲望を吸い取られてしまったのでした。 本、形あるもの。古い本独特の香り。中表紙に入れられたサインやメッセージ。紙は古く朽ち始めても、ページをめくり、読むことができる。そして時代を超え、こうして人の手から手へ渡り続ける。本の内容とはまた別の独自の歴史/物語を持った本たち。かつてはどこかの図書館にあったかもしれない、誰かに贈られたものかもしれない。それぞれの物語の途中で、ヘイオンワイに辿り着き、また新たな物語が紡がれるのを静かに待っている。ここは本たちの長い長い旅の寄り合い所なのだ。
by caopom
| 2007-06-21 06:25
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